ファーストリテイリングとはユニクロやGUを運営する企業なのですが、手ごろな値段で服が買えて人気なお店なのに、株価は全然安くないんですよね。
もはや個人投資家が気軽に手を出せる株価ではなくなってしまったのですが、なぜこんなに高いのか?
ファーストリテイリングの株価の高さは日経平均株価指数と深~い関係があるんです。
目次
ファーストリテイリングの株価はなぜ高いのか
ユニクロやGUを愛用している方からすれば、業績好調だから株価もそりゃあ上がるでしょ、と納得の株価かもしれません。
実際業績は右肩上がりです。コロナの影響で少し2020年の売上は落ち込んだものの、基本的には右肩上がり。
今後も安定的に推移していくものと思われます。(参照:SBI証券)
コイケjr.
コイケ
株価は2021年1月12日時点のものです。
平均的なPERの目安が15倍ということなのですが、ファーストリテイリングの予想PERは56.4倍と、平均を圧倒的に上回っており、割高と言えます。PBRの基準は1倍を下回ると割安として判断されるのですが、ファーストリテイリングの実績PBRは9.72倍となっており、こちらの指標で判断しても割高となります。
理由①:ファーストリテイリングは日経平均寄与度が高い
日経平均寄与度とは?
まず、日経平均株価の価格に対して、構成銘柄がどの程度価格に影響したかを表す日経平均寄与度の計算式です。
日経平均寄与度=(個別銘柄変動幅/除数)×(50/みなし額面)
↓除数とみなし額面の説明はこちらにまとめたので、わからない方は参考にしてください。

この計算式をみて、なんとなく予想がつくかもしれませんが、日経平均はファーストリテイリング株のような、1株当たりの金額が大きい値嵩株の影響を受けやすいです。
実際に計算してみるとわかります。
武田薬品工業はファーストリテイリングとみなし額面が同じ50円なので、例にとって計算してみます。
武田薬品工業の2021年1月現在の株価は3,800円前後。対してファーストリテイリングは92,000円前後。仮に、両社が10%程度上昇したとして(武田薬品工業+380、ファーストリテイリング+9,200)、日経平均寄与度を計算してみます。(除数は27とします)
武田薬品工業の日経平均寄与度:380÷27=約14円
ファーストリテイリングの日経平均寄与度:9,200÷27=約340円
この上げ幅がそのまま日経平均の上昇に影響します。どちらも割合としては同じ10%の上昇なのに、ファーストリテイリングの影響高すぎですよね…。
それもそのはず、日経平均の構成率というものがあるのですが、なんと2021年1月時点でファーストリテイリングの構成率は11.68%もあるんです。
日経平均構成率が高い銘柄ゆえ株価が上がりやすい?
日経平均連動型の投資商品は多数あります。日銀も日経平均連動型のETFを購入して株を下支えしていますが、このような日経平均連動型の投資商品を買うと、構成率に基づいて資金が配分されていくのです。⇒2021年4月より、日銀は日経平均連動型のETFは購入せず、TOPIX連動型のETFのみの購入に方針転換しました。
日経平均連動型の投資商品の購入資金のうち11%はファーストリテイリングに流れる、ということです。ファーストリテイリングの株を個別に購入しなくとも、個別に買ったのと同じことになるわけです。
コイケ
理由②:ファーストリテイリングは浮動株比率が低い
浮動株とは株式市場に流通している株式数のことです。流通している株式が少ないということは、買い注文が増加するだけで株価は大きく上昇しやすくなります。
極端ですが、どうしても買いたいのに手に入らないなら、高いお金を払ってでも手に入れようとしますよね、そんなイメージで、ボラティリティが激しくなるわけです。
それなら下がるときは簡単に下がりそう!
と安易に考えがちなのですが、浮動株比率が低いということは特定株の比率が高いということでもあります。特定株の保有者は株価の上下にかかわらず手放すことはほぼないでしょう。それゆえ、株価は上昇しやすくなります。
そのうえ、日銀が株価下支えのため何年も日経平均連動型のETFを買い続けた分に関して、売る予定は今のところありません。つまり日銀も特定株の保有者として考えれば、浮動株比率は年々低くなっているのです。
でも指標は割高を示しているので、いずれ大きく下がるだろうと予想する投資家が売りを仕掛け、結局はうまくいかずに踏み上げられて株価上昇の養分となってしまい、株価上昇に拍車をかけています。
ファーストリテイリングの株価が上がりやすく下げにくいのにはこんなからくりがあったのです。
空売りするなら貸借倍率を確認してから
日本人投資家は、上がり続ける株を見ると、特にこれといった根拠もなく「そろそろ下がるだろう」と予想して売りたくなる方が大半だそうです。私もそうなのですが。
でも、最近の相場はどちらか一方的に上がり続けるか下がり続けることが多いですよね。
上記のからくりを知らずに、「割高水準だから」「上がり続けてるから」といったアバウトな理由で空売りすると危険な目にあいます。貸借倍率が極端に低い場合は安易に空売りをしてはいけません!
1株からお得に買える証券会社はある?
ちなみにあくまでも自己責任ではありますが、大規模金融緩和のこんな相場が続く限りは、買い方のほうが有利かもしれません。
コイケjr.
1株から購入できる証券会社もあります!1株から買うならLINE証券かSBIネオモバイル証券がおすすめです。
LINE証券は、単元未満株でもリアルタイム(即時)で取引ができるのが特徴です。
即時に取引ができる代わりに、単元未満株取引の場合は売買手数料が特殊で、日中なら市場価格の0.2~0.4%が取引コストとなります。(この取引コストのことをスプレッドといいます。)
しかも申し込み手続きがスマホで簡単にできて、最短翌日に取引開始できるのでおすすめです。
SBIネオモバイル証券は売買手数料がサービス利用料として定額制になっており、月50万円までなら月220円で取引ができる、取引コストの圧倒的な安さが魅力です。ただ、こちらはリアルタイムで取引ができません。
↓単元未満株取引についてはこちらに詳しく載せています
1万円から買える株はある?
いやいや、こんな高値で買うなんておかしいでしょ、暴落怖くないの、と思われそうですが、1株だけならハードルは下がるでしょう。信用買残よりも圧倒的に信用売残が上回っている、売り長の時は買い方が有利ですからね。
ファーストリテイリングの株は日中も結構値動きが激しいので、1株でも売りたいときにリアルタイムですぐに売れる、LINE証券の方が良いかもしれません。
まとめ
というわけで、ユニクロやGUを運営するファーストリテイリングの株価がなぜ高いかですが…
- 日経平均寄与度・構成率が高く、日経平均連動株が買われると11%も資金が入る
- 浮動株比率が低く、上昇しやすい
- 踏み上げ
以上です。
日経平均とファーストリテイリングは持ちつ持たれつ、運命共同体のような関係なので、高いからといって、安易に空売りするのは注意が必要です!
※追記:2021年4月より日銀は日経平均連動型ETFの購入をやめ、TOPIX連動型ETFのみの購入に方針転換しました。これによりファーストリテイリングも徐々に落ち着くべき株価まで下げていくのでは?と予想しています。
そして、寄与度の高さによる日経平均の歪みも是正されていくと思います。
ただ、日銀がこれまで購入したETFは今のところ売却予定等はなく、浮動株比率は依然低いままなので空売りには注意が必要です。