ロボアドバイザーも投資信託も、少額で複数の投資対象に分散投資でき、運用を任せる点では同じですが、似たような性質のある商品だからこそ、どちらがお得なのか、何が違うのかを検証したいと思います
目次
ロボアドバイザーとは
ロボアドバイザーには、最適なポートフォリオのアドバイスのみを行う「アドバイス型」と、最適なポートフォリオで自動的に資産運用をしてくれる「投資一任型」とがあります。ここで紹介するロボアドバイザーは「投資一任型」のものに限定します。
「投資一任型」ロボアドバイザーは2020年現在、複数の会社でサービスが提供されていますが、口座開設後の質問の答えに基づいて自動的にポートフォリオの割合が決まり、運用中は定期的にリバランス(資産構成最適化のための売買)が行われるものが多いです。また、最低投資単位は1,000円~100,000円と様々です。
ちなみに今からロボアドを始めるなら、従来のロボアドバイザーの一歩先を行くFOLIO ROBO PROがおすすめです。
投資信託とは
投資信託とは投資家から集めたお金を専門家が投資・運用してその運用損益を投資家に還元するという商品です。
出典:投資信託協会
投資対象は商品によって様々で、国内の株式や債券や不動産、海外の株式や債券や不動産、コモディティなどから選べます。運用方法も、指数に連動するように運用する「インデックス型」とインデックスを上回る運用益を目指す「アクティブ型」などがあります。
ロボアドバイザーと投資信託の違い
「サービスの契約」か「商品の購入」か
まず、ロボアドバイザーと投資信託を始めるにあたって、その手続き方法に違いがあります。ロボアドバイザーは投資一任サービスの契約を結ぶもの、投資信託は投資商品を購入するもの、という点で商品性が異なります。
投資対象の選定や購入をお任せするか、自分で選んで購入するか
ロボアドバイザーは投資一任サービスの契約を結んだ後は、投資対象の選定や購入も全てお任せできますが、投資信託の場合は様々な種類の中から、自分で選択する必要があります。
投資対象となる細かな銘柄は選ばなくても良いのですが、株や債券、国内や海外など、どのような種類の投資対象に投資する投資信託なのか、商品によって方針が違うので、多数ある投資信託の中から自分に合った商品を探して選択しなければなりません。
株や債券などに分散投資できるバランス型の投資信託もありますが、どのような割合で分散するかは投資信託の商品によって異なるので自分で選択する必要があります。
一方でロボアドバイザーの場合は、投資対象を選ぶ必要がなく、国内外の株や債券や不動産等のETFに自動で分散投資してくれますし、そのポートフォリオの構成比も自動で最適化してくれるものもあります。
手数料の違い
投資信託の手数料は、商品によって全く異なります。
- 販売手数料:購入時にかかる手数料(0~3%程度)
- 信託報酬:保有する間、信託財産の中から間接的に支払い続ける費用(0.1%~3%程度)
- 信託財産留保額:解約時にかかる手数料(0~0.5%)
一方、ロボアドバイザーも、運営会社によって手数料は異なりますが、預かり資産に対して1%程度のところが多いです。
- 売買手数料
- 売買委託手数料
- 為替手数料
- 為替スプレッド
- リバランス手数料
コイケ
運用途中の資産構成の最適化(リバランスとリアロケーション)
運用資産は日々値動きするため、特性の異なる資産を複数保有していた場合、時間の経過とともに構成比率が変化していきますので、適時売買することにより定期的な見直しが必要になります。
例えば、株式投資信託・債券投資信託を当初は50%ずつ同率で保有していたのに、数か月後に株式投資信託が値上がりして、株式投資信託の保有割合が75%になった場合などは株式の保有割合が高まり、リスクも高くなってしまうので、株式投資信託の一部を売却するなどして、債券と株式の保有割合が同率になるよう調整することが望ましいです。
このように当初決定した資産配分に戻すことをリバランスと言います。
投資信託の場合はこの作業を自分でやらなければならないのですが、ロボアドバイザーなら定期的にリバランスをしてくれます。
コイケjr.
コイケ
リアロケーションとは、投資対象や投資配分を見直して当初の資産配分を変更することです。
- リバランス:当初決定した資産配分に戻すこと
- リアロケーション:資産配分の変更
THEO+docomoやFOLIO ROBO PROはリバランスの他に、市況の変化に合わせて資産配分を最適化するリアロケーションも行っています。なお、FOLIO ROBO PROは2020年11月より、市場の急変時にも臨時的なリアロケーションを行う運用も開始したようなので、今後の運用結果にどう反映されるのかが楽しみです。
※FOLIO ROBO PROではリバランスと表現していますが、下記の内容を読む限り、リアロケーションと同義なので、本記事ではリアロケーションとして表現しています。
FOLIO ROBO PROが行うリバランスは市場の環境に合わせて最適と考えられるポートフォリオも随時更新しているので、元の比率に戻すとは限りません。月1回程度のリバランスによって最新のポートフォリオを反映することで機動的な資産配分の変化を実現しています。
市場の急変時にも臨時的なリバランスを行う運用を行っています。
(出典:FOLIO ROBOPRO 公式サイト)
ロボアドバイザーと投資信託はどちらがお得か
手数料を比較
単純に手数料だけを比較すると、投資信託の方が安いものもありますが、運用成績が良ければ年1%程度の手数料なんて気にならないレベルのリターンを期待できますし、手数料が安くても成果がマイナスでは意味がないですよね。
運用成果を比較
…となると、気になるのは運用成績です。
コイケjr.
コイケ
というわけで、ロボアドバイザーと同じように特性の異なる複数の資産に投資するバランス型の投資信託と、主要なロボアドバイザーの過去1年間の実績を比較してみました。
各サイトに載っていた参考資料をもとに、過去約1年間(2019年10・11月~2020年10・11月)の運用成果についてグラフを作成してみました。※FOLIO ROBO PROのみ2020年1月に運用開始したので、1月~10月までの成果となっています。
ウェルスナビ | オンコンパス | FOLIO ROBO PRO | バランス型投資信託 |
0~2.3% | 1%~4.9% | 5.6% | -8.4~3.7% |
※小数点第2位以下四捨五入
この期間といえば、2020年2月にコロナショックがあり、秋に向けて株価が急上昇した時期でした。株式市場にとっては激動の1年でしたが、バランス型投資信託を除いてはプラス圏内を維持しています。
定期的なリバランスとリアロケーションはロボアドバイザーのみ
ロボアドバイザーの中でも、「FOLIO ROBO PRO」「THEO+docomo」なら市況に応じて資産配分を自動で変更・最適化するリバランス・リアロケーションをしてくれるので、どんな市況でも資産運用を一任できる安心感があります。
コイケ
まとめ:どちらがお得か
自分で市況の分析や構成資産の見直しなどができる自信があるのならば、手数料の面から考えると投資信託の方がお得かもしれません。でも、意外とその作業が難しかったり、損失が膨らむと自分の判断が正しかったのかと一喜一憂したりするので、ほったらかしでプロ並みの運用成果が期待出来るロボアドバイザーの方が圧倒的にお得だと思います。
バランス型投資信託と比較する場合も、市況に合わせたリバランスやリアロケーションをしてくれるロボアドバイザーの方がお得だと思います。
いや、インデックス投資信託をほったらかしにしているけど、手数料も安いしパフォーマンスも良いよ。
という意見もあるかもしれませんが、それはここ数年日経平均やダウ平均が右肩上がりだったからです。
長期的な視点で投資する場合は株価下落局面でいかに損失を抑制できるかが重要になってきます。
投資は短期のつもりで、短期である程度利益が確保できれば、投資は止めようと思ってるよ。
という意見もあったりしますが、短期で大きな利益を確保しようとすると、失敗する可能性が高くなります。うまくいったらいったで、欲が出て簡単に投資をやめられなくなるでしょう。
それなら、最初から長期的に王道の投資方法で投資すべきですよね。
とはいえ、王道の投資方法は「長期」「積立」「分散」なので、少額からコツコツ投資信託を積み立てするのであれば、それも良いと思います。
というわけで、サービス内容からしてお得感があるのはロボアドバイザーですが、どちらも組み合わせてやってみるのが分散という観点からもおすすめです!
コイケ