日経平均のみなし額面とは?わかりやすく説明します!

日経平均のみなし額面とは?わかりやすく説明します

みなさんは、日経平均株価の算出方法をご存じでしょうか?

基本としては単純に日経平均の構成銘柄である225銘柄の平均を出す、

日経平均株価=225銘柄の株価の合計÷225

という認識で間違いないのですが、

実際は225銘柄を「みなし額面」で修正した株価の合計を、225銘柄の入れ替えや株式分割・併合などの影響を調整した「除数」で割って算出します。

コイケjr.

みなし額面とは何のこと?
はい、みなし額面についてわかりやすく説明しますね!

コイケ

みなし額面とは何か?わかりやすく説明します!

以前は「株券」という紙のお札のようなものがあり、1株あたりの金額が書かれていました。この株券に書かれていた金額が「額面」というものです。(2009年度からは株券が電子化され、発行されないことになりました。)

株券の種類は額面50円、額面500円、額面5万円が一般的で、最低売買単位は額面50円の銘柄は1,000株、額面500円の銘柄は100株…というように一口5万円になるように規定がありました。

2001年に額面制度は廃止となりましたが、廃止された後も、多くの銘柄が、旧額面を基準として株価形成されていたことから、日経平均算出のために現在も額面があるものとみなして、額面制度を引き継いだ「みなし額面」を225採用銘柄に設定しています。

現在の「みなし額面」一覧は日経平均プロフィルというサイトの関連データというところの「みなし額面一覧(CSV)」に記載されています。

みなし額面は株式分割・併合などがあった場合等にも変更されるので、100円や25/3円といったものもあります。

というわけでまとめると

みなし額面とは?みなし額面ができた経緯
    • 以前は株券があり、株券に1株当たりの金額である「額面」が記載されていた。
    • 「額面」は銘柄によって異なり(50円が多い)、それぞれの株価を形成する基準のようなものだったが、2001年に額面制度が廃止された。
    • 廃止後も、もともとあった額面は株価形成に影響を与えているとの認識から、日経平均算出のため、現在も額面があるものとみなして、仮の「額面」である「みなし額面」がそれぞれの銘柄(225採用銘柄)に設定されている。

日経平均株価の算出方法

みなし額面が理解できれば、日経平均株価の正確な算出方法も理解できると思います。

コイケ

①日経平均株価算出式の分子

日経平均株価は、最初に述べた通り、225採用銘柄の株価合計を除数で割って算出します。

ただ、225採用銘柄は、それぞれの株価水準である「みなし額面」が異なっているため、これらを統一してそれぞれの株価を修正する必要があります。

株価水準を統一するために、みなし額面50円の水準に株価を換算して計算します。

みなし額面を50円として額面水準を統一した場合の株価は以下の式で算出できます。

みなし額面50円に換算後の株価=銘柄の株価×(50÷同銘柄のみなし額面)

銘柄名 株価 みなし額面 みなし額面50円に換算後の株価
みずほフィナンシャルグループ 1,317円 500円 131.7円
日本電信電話 2,673円 125円 1069.2円
ファーストリテイリング 84,560円 50円 84,560円
ソフトバンクグループ 8,354円 25/3円 50,124円

グラフの株価は2020年12月18日時点終値です。以上はほんの一部ですが、銘柄によってみなし額面が異なっていますね。

この状態では単純に株価を比較できないので、全てみなし額面50円として額面水準を統一した場合の株価を算出するというわけです。

「みなし額面50円に換算後の株価」が大きければ大きいほど、日経平均の変動に影響を与えるということになります。

コイケ

コイケjr.

仮にみずほフィナンシャルグループが10%値上がりしたとしても、日経平均にはあまり影響がなさそうだね。

②日経平均株価算出式の分母である除数とは?

日経平均算出式の分母は、銘柄数である225という認識で正しいです。…が、銘柄の入れ替えなどがあった場合にそのまま225で割るのは適切ではないので、調整を繰り返した結果、分母=銘柄数ではなくなり、その分母の数字を「除数」として表現しているようです。

銘柄Cから銘柄Dへと入れ替えした場合

銘柄入替前の株価合計

銘柄A:300円+銘柄B:500円+銘柄C:1,000円=1,800円

銘柄入替前の平均株価指数

1,800÷3=600

銘柄入替後の株価合計

銘柄A:300円+銘柄B:500円+銘柄D:1,600円=2,400円

銘柄入替後の平均株価指数

2,400÷3=800

上記のような場合、入れ替え前の平均株価指数は600円、入れ替え後の平均株価指数は800円となり、銘柄入れ替えの影響で株価合計が200円も上がっています。相場全体が値上がりしたと勘違いしてしまう恐れがあります。

このような入れ替えによる株価への影響をなくすために、入れ替え後の平均株価指数が変化しないように除数を調整します。

1,800円:2,400円=3:?

?=4

つまり、銘柄入れ替え後は4で割ると平均株価指数は600円となり、銘柄入れ替え前と同じで、指数値の連続性が保たれるというわけです。

日経平均株価の算出(①÷②)

というわけで、①225銘柄を「みなし額面」で修正した株価の合計÷②除数で日経平均株価が算出できます。日経平均プロフィルによれば、2020年12月現在の除数は27.769となっています。