投資をしていると一定期間に必ず訪れる株価の暴落。上げ100日下げ3日といわれるように下落のスピードは本当に速く、うまくタイミングを合わせて空売りできれば短期間で効率よく利益が狙えます。でも、そんな暴落を狙って安易に空売りをしてしまうと、踏み上げられて買戻しのタイミングを失い、手数料負けしてしまったりすることがよくあると思います。
空売りを保有すると手数料はどのくらいかかるのか、空売りで手数料負けしない方法はあるのかを探っていきたいと思います。
目次
空売りで手数料負けしない方法
早速ですが、初めに空売りで手数料負けしないための要点をお伝えします。
- 貸株料の安い証券会社を選ぶ
- 可能な限り短期保有を心がける
- 空売りのベストタイミングを図る
- 株価指数CFDを活用する
結論から言えば、結局は日毎に手数料はかかってしまうので、できるだけ短期保有にとどめることが一番の対策となります。
ただ、日経平均やダウ平均、ナスダックなどの株価指数を空売りする場合なら、ベア型投資信託でもなくダブルインバースでもない、保有するにあたって手数料負けするどころか、場合によっては配当のような価格調整額を受け取れる取引方法があります。その方法についても後ほど紹介します!
空売りにかかる手数料とは?
いつかは必ず暴落するんだから、売りポジションを長期保有できたら有利なのにな、と投資経験者なら誰もが考えることだと思うのですが、空売りポジションを日を跨いで保有する場合、様々な手数料がかかります。
貸株料
まず、売りポジションを日を跨いで保有すると「貸株料」がかかります。
貸株料率は証券会社によって異なりますが、1~4%程度と幅広く、これを抑えるには当然ですが貸株料率の低い証券会社を選ぶ必要があります。
1日当たりの貸株料 = 約定代金 × 貸株料率 ÷ 365日
逆日歩(品貸料)
制度信用取引を利用する場合、証券会社は「証券金融会社」から決済に必要な株式を調達してきます。でも売りが急増して売り建て玉数が買い建て玉数を上回ると株不足となってしまい、金融証券会社は機関投資家等から不足分をお金を払って調達しなければなりません。その調達費用が逆日歩(品貸料)です。
つまり、逆日歩は制度信用取引を利用し、かつ株不足になっている場合に発生します。
でもこれが厄介で、「連日値上がりして、そろそろ暴落しそうじゃないか」という銘柄は、同じように考えて空売りしようとする投資家が多く、大体逆日歩が発生しています。逆日歩が発生することで日々のコストが嵩み、買い戻せざるを得なくなって踏み上げが起こることもよくあります。
というわけで、貸株料よりも逆日歩によって手数料負けするパターンが圧倒的に多いのではないかと考えられます。実際の手数料負けパターンを見てみましょう。
逆日歩で手数料負けするも逆日歩に買いなし?
こちらは1570日経平均レバレッジ上場投信の逆日歩履歴です。赤い数字で書いてあるのが逆日歩で、2022年8月は連日逆日歩が発生していました。この表にある8月5日~26日の間100株持っていたとすると、逆日歩だけで10,500円かかる計算になります。
では、その期間の1570日経平均レバレッジ上場投信の値動きはどうなっていたのかというと、ちょっと細かくて申し訳ないのですが、上記チャートの8月8日~8月30日の間をご覧ください、株価はピークを迎えています。
逆日歩がつくと、売り方は買戻しをせざるを得なくなり踏み上げが起こりやすくなるのですが、踏み上げた後というのは株不足が解消に向かう際に一気に急落しやすくなります。このケースから考えると、逆日歩がついた最初の頃は売るのを控え、逆日歩が連日続いた場合は急落を警戒、つまり空売りを検討しても良いのかもしれません。ただ、この急落はアメリカの指標発表の結果が悪かったことに伴うものであり、その結果によってはさらに上昇する可能性もあったため、逆日歩がついているときに安易に空売りするのは避けたほうが良いでしょう。
制度信用取引と一般信用取引の比較
ここまで、制度信用取引で発生する逆日歩について説明しましたが、一般信用取引で空売りする場合、逆日歩はつきません。では、制度信用取引と一般信用取引の違いとは何なのか表にまとめたのでご覧ください。
制度信用取引 | 一般信用取引 | |
対象銘柄 | 取引所が定めた制度信用銘柄 | 各証券会社が選定した銘柄 |
返済期限 | 6か月 | 無期限 |
貸株料 | 年利1.10~1.15% | 証券会社によって様々 |
逆日歩(品貸料) | あり | なし |
どのように使い分けするかといえば、まずそれぞれ対象銘柄が異なるので自分の空売りしたい銘柄が対象かどうかで使い分けます。そして長期にわたって保有したい場合や、逆日歩がつきそうな銘柄を空売りしたい場合は一般信用取引にする等、取引スタイルによってどちらが有利になるかを見極めて選択しましょう。
なお、保有することによりかかる貸株料の年利について、「証券会社によって様々」と記載しましたが、貸株料について比較したサイトがあったので下記に載せておきます。
空売りをするベストタイミングを探る
株価は上がると買いたくなって、下がると売りたくなるものですよね。
チャートを振り返ってみると、ここで売っていればなぁと思うのですが、そのベストタイミングは誰にも予測できません。日本の個人投資家は逆張りが好きなようで、上がり続けるとそろそろ下がるだろうと売りたくなる人が多いようです。でも実際は一旦上げると上昇トレンドが続き、下げると下落トレンドが続くという一定期間トレンドに沿って動くケースが多いようで、下のナスダックのチャートも前半は上昇、後半は下落というパターンになっています。
というわけで一概には言えないのですが、移動平均線を上抜けたら買い、下抜けたら売りのように基本中の基本なのですが、逆張りでベストなタイミングを狙い踏み上げに泣くよりも、トレンドに逆らわずに順張りで一定期間保有するのが結局のところはベストな方法だと言えると思います。
株価指数CFDの空売りなら保有コストが有利
さて、最初にお伝えしたCFDについてです。日経平均やダウ平均などの株価指数を空売りする場合ならCFDを利用したほうが圧倒的に有利です。CFDについてはこちらの記事に書いたのでご覧ください。
GMOクリック証券の株価指数CFDは売り保有コストが価格調整額のみ
株価指数CFDも、信用取引と同じような現物をやりとりしない差金決済取引なので、日を跨いで保有すると何かしらのコストがかかると思うかもしれないのですが、GMOクリック証券の日経平均先物やアメリカの株価指数等に連動する株価指数CFDであれば、売りから入っても年4回の価格調整額しかかかりません。しかも、アメリカ利上げ局面なら、アメリカの株価指数CFD売りポジション保有で価格調整額を受け取れます。
コイケ
価格調整額についてはこちらにまとめましたので参考にしてください。
保有コスト等の手数料についてはこちらに記載しました。
信用買い保有とCFD売り保有の両建てで逆日歩狙いの投資も可能
空売りに保有コストがかからないメリットを利用して、1570日経レバレッジ上場投信に逆日歩がついている時に、1570信用買いと、日経平均CFDの売りポジションを同量になるように両建てで保有すれば「逆日歩取り」も狙えますね。
資金効率はあまり良くないので私は試したことがないのですが、一つの手段として有効だと思います。ぜひ試してみてください。
まとめ
空売りで手数料負けしないためのポイントは最初にお伝えした通りですが、逆日歩がついた銘柄には安易に手を出さない方が良いということ、そして逆張りではなく順張りでトレンドに沿って空売りした方が良いということも注意点として追加しておきます。
そして個別銘柄ではなく日経平均等の株価指数の空売りであれば、日々の保有コストがかからず、ダブルインバースのような減価もしない株価指数CFDを利用することをオススメします。CFDについての記事は他にも色々書いてみたので、気になる方は他の記事も是非ご覧ください。