米国株が右肩上がりだった時に人気を博したレバナスですが、下落局面ではレバレッジがかかっていることもあり想像を絶する大暴落。「米国株は長期的にはまたいずれ上向くだろうから、安くなった今が買い場」と言って積み立てしている方もいるようですが、そんな方はレバナスの減価について理解しているのでしょうか?
意外な盲点「レバナスの減価」について解説するとともに、CFDのナスダック100に投資した場合の比較についてもお話したいと思います。
目次
レバナスとは
そもそも、レバナスとは何かご存知でしょうか?アメリカのナスダック100指数の日々の値動きに対して2倍の値動きをするようにレバレッジがかけられた投資信託のことです。
- iFreeレバレッジNASDAQ100
- 楽天レバレッジNASDAQ-100
アメリカの株価指数ナスダック100について箇条書きにしてまとめてみました。
- ナスダックとはアメリカの株式市場の1つで、ハイテク企業やIT企業など成長性の高い銘柄が多数上場
- ナスダック100とは、ナスダックのうち金融セクターを除く銘柄で、流動性の高い時価総額上位100社から構成
- アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、テスラなど有名な企業が多数上場している
コイケjr.
コイケ
レバナスの減価とは?
だいぶ価格が下がった今こそ、2倍に値動きするレバナスをコツコツ積み立てて長期保有すれば数年後は何倍もの利益が得られるだろう
と思う方が多数いらっしゃると思います。でも、レバレッジのかかった投資信託は「減価」してしまうので長期保有には向いていません。では、レバナスの減価とは何なのか、仕組みを説明します。
レバナスの減価の仕組み
レバレッジ型の投資信託というのは前日(前営業日)の価格を基準として、価格が2倍になるように計算されています。ここでポイントなのが前日の価格を基準としているということです。
ということは、大幅下落してしまうと、基準となる価格が小さくなり、元の価格に戻りづらくなってしまいます。
どういうことかというと…具体例としてわかりやすくするため、レバナスの原指標となるナスダック100、レバナスを初日10,000円として3日間の値動きを比較してみます。
ナスダック100が20%値下がりすると、レバナスはその2倍なので前日比40%の下落になります。その翌日ナスダック100が25%値上がりして値を戻しても、レバナスは戻らず、1日目と比較すると10%もマイナスとなっています。3日目レバナスは50%も値上がりしているのに、基準となる価格が2日目に小さくなってしまったため、再浮上が難しくなってしまったのです。これを減価といいます。
一方、値上がりした後に元に戻った場合を比較します。2日目の値上がりが50%のプラスとなり原指標よりも25%高の好成績ですが、3日目ナスダック100が下落して値を元に戻してしまうと、レバナスは1日目よりも10%もマイナスとなってしまいました。
2日目に基準価額が高くなったため、値下がり幅が大きくなってしまったのです。
ただ、前日の価格を基準としているので、連続して一方向に値上がりした場合は、基準となる価格も高くなり、大幅な上昇が見込めます。しばらく右肩上がりが続きそうな局面に短期で保有する場合にはレバナスをおすすめしますが、基本的に株価というのは例のように上下を繰り返すことが多く、上下を繰り返すことで減価が進んでしまうので長期保有はおすすめしません。
現在株価は下落トレンドですが、上下を繰り返しながらもしばらく下落が続くと減価が進んでしまい、上図のようにプラス80%の大幅リバウンドがあったとしても、原指標には遠く及ばない状態になってしまいます。レバナスの減価の仕組み、おわかりいただけたでしょうか?
レバナスとCFDナスダック100との比較
コイケjr.
コイケ
CFD取引についてはこちらの記事を参考にしてください
なぜおすすめかといえば以下の通りです。
ここでは、株価指数に連動した銘柄を少ない資金で取引できるCFD取引でナスダック100を買った場合と、レバナスを買った場合を比較してみます。
元の株価に戻った場合の比較
ナスダック100は6月16日に安値を付けた後上昇に転じ、ゆっくりと時間をかけ10月3日にまた6月16日の安値に戻ってきました。
こんな動きをした場合のレバナスとCFDナスダック100の成績を比べてみます。
CFDナスダック100は6月16日に11068、10月3日に11040となっています。
一方でレバナスはどうでしょう。
6月16日に19,928、10月3日に17,123となっています。
6月16日 | 10月3日 | 騰落率 | |
CFDナスダック100 | 11,068 | 11,040 | -0.2% |
レバナス | 19,928 | 17,123 | -14% |
やはりレバナスは減価が進んだことにより、CFDナスダック100の騰落率を大幅に下回る結果となりました。
右肩上がりの場合の比較
一方で、右肩上がりの場合はどうでしょうか。6月16日を起点として、高値をつけた8月16日までの値動きを比較してみます。
↑CFDナスダック100のチャート
↑レバナスの時系列
6月16日 | 8月16日 | 騰落率 | |
CFDナスダック100 | 11,068 | 13,646 | +23% |
レバナス | 19,928 | 27,161 | +36% |
やはりレバナスは株価が一方的に上昇が続く局面では強く、CFDナスダック100の成績を大幅に上回っています。
資金効率を考えるとCFDナスダック100が有利
ちなみに、投資資金が20,000円あったとします。上記の右肩上がりの場合においては騰落率はレバナスの方が上回っていましたが、同程度の資金を投じた場合の成績について比較してみます。
ちょっと時期がずれていて申し訳ないのですが2022年11月現在では、ナスダック100を買うための最低必要証拠金は16,754円です。予算20,000円で1単元購入できます。(6月16日時点なら、もしかすると20,000円で2単元買えたかもしれませんが、ここではわかりやすく1単元購入する場合を考えます。)
現在のレートでは1単元購入した場合、大体0.1ポイント上昇につき1円の利益となります。(以下の計算も0.1ポイント上昇につき1円の利益として計算します。)
一方、レバナスは予算20,000円で1万口(基準価額19,928)購入できます。(投資信託は基準価額=1万口の金額となっています。)
というわけで、予算20,000円で6月16日から8月16日まで保有した場合
6月16日 | 8月16日 | 利益 | |
CFDナスダック100 | 11,068 | 13,646 | 約25,780円 |
レバナス | 19,928 | 27,161 | 約7,233円 |
同程度の資金を投資した場合、利益はレバナスよりもCFDナスダック100の方が大幅に上回る結果となりました。
但しロスカットには注意
ただ、CFD取引は決済時の差額のみをやり取りする差金決済取引であり、少ない証拠金で投資資金を上回る取引が可能である故に、投資金額以上の損失を被るリスクがあります。
投資信託であれば投資資金以上の損失を被ることはありません。
十分な余力確保、少額投資を心がける等、リスク管理を徹底して取引するようにしてください。CFD取引のリスクについてはこちらの記事に書いたので参考にしてください。
保有コストもCFDが有利
レバナスは投資信託の中でも信託報酬が高く、保有コストが結構かかってしまいますが、GMOクリック証券のCFD取引でナスダック100を取引する場合は保有コストが3か月に1度の価格調整額しかかかりません。
売りポジションか買いポジションかで支払うのか受け取れるのかが変わってきます。表のうち、プラスになっているものは受け取り、マイナスになっているものは支払いとなります。利上げの影響もあり6月9月は買いでマイナスとなっています。(※上記の価格調整額は最低取引単位(1単元)にかかるものです。)
CFD取引ならほぼ24時間取引できるので流動性が高い
また、CFDナスダック100は平日であればほぼ24時間取引できるので、日本時間深夜の米国市場開場時にも取引ができます。
投資信託であるレバナスは注文から決済までタイムラグがありますが、CFD取引なら逆指値注文等で暴落による大幅下落を回避することもできます。
リスク管理さえできればレバナスよりCFDナスダック100の方が有利
レバナス | CFDナスダック | |
長期保有 | 不適 | 適 |
保有コスト | 高 | 低 |
資金効率 | 普通 | 良 |
流動性 | 低 | 高 |
リスク | 中 | 高 |
レバナスとCFDナスダック100の比較を表にまとめてみました。リスク面以外では圧倒的にCFD取引の方が有利という結果になりました。レバナス長期投資はもうやめて、CFD取引に少額からチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
コイケ
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