結婚出産を機に仕事を辞める女性が多かった数十年前に比べ、現在は女性の社会進出が進み、産休や育休を利用して正社員として活躍する女性が増えています。IT業界やメーカーなどは、働き方に関して時代の変化に柔軟に対応するイメージがあると思いますが、割とお堅い銀行業界ではどうでしょうか…。銀行で働いた実際の経験をもとに紹介します。
目次
子育てしながら銀行員として働くことはできる?
復帰後は融通の利く業務担当が多い
数十年前は女性は一般職、男性は総合職、という形で、女性行員は寿退社が多かったと思うのですが、2020年現在、結婚を機に仕事を辞めるなどといった女性はだいぶ少なくなってきました。出産休暇、育児休暇を取得して仕事を続ける女性は少なくありません。
でも私の勤めた銀行では、女性が産休をとった場合、産休後の復帰先として窓口業務(預金業務)など、比較的融通の利く(代えが利く)業務を担当させられる方が多かったです。やはり子供が小さいうちは、子供が体調を崩しやすかったり、休みがちになってしまうので周囲の協力が不可欠になると思います。担当取引先が決まっている法人融資業務と比較して、窓口業務などは、その場で仕事が完結するので、休みがちになっても比較的「代え」がきくので周りに迷惑をかけにくいからでしょうね。
育児をしながら働いた先輩が理解者になってくれる
私が勤めた銀行の場合ですが、窓口業務などに関しては今の時代は育児をしながら働いた先輩が多くなってきているので、育児をしながら働いて休みがちになってしまっても良き理解者が増えてきているように感じます。
実際私が独身の時は、子供の体調不良等で休みがちな人に対して、自分には経験がないので内心良く思わないということがありました。
コイケ
一方で、そんな風に肩身の狭い思いをしながらも育児をしながら働いてきた先輩は良き理解者となり、そういった先輩方が増えてきていることで、徐々に働きやすい職場が構築されてきているように感じます。
ママ銀行員に法人融資業務は務まるのか?
コイケJr.
そもそも女性の法人融資担当者が少ない
そもそも独身か既婚かにかかわらず女性で法人融資担当という点で少しハードルが上がるような気がします。女性の社会進出が進む一方で、まだまだ銀行の法人融資担当者は男性が多いのです。まだまだ「法人融資担当は男性」というイメージが強いので、女性というだけで取引先からはちょっと下に見られ(るような気がし)ます。それをカバーする交渉力や知識がないと務まらないと思っていたので、日々勉強の毎日でした。
しかも見た目も「知的で強そうな女性」なら良いのですが、私は「弱そうで幼い」雰囲気を持っていたので、苦労しました。部長は「そんなコイケさんにしかできない役割がある」みたいに言って起用してくれましたが…実際は大変でした。
法人融資業務は激務で代えが利きにくい
預金業務も融資業務も同じ銀行業務なのですが法人融資となると、決算関連書類の見方等、勉強しなければいけないことがとにかく多いです。「融資の営業」「融資実行に向けた稟議」「実行後の管理」これらだけでも大変で、定時で帰るなんて、よっぽど仕事ができる人じゃなきゃムリ!という感じでした。
案件を練って温めて、融資実行となるまでに、お客さんと何度も会って説明したり書類をもらったりこちらで準備したりするので、担当者は同じである必要があり、仮に誰か代わりに担当してもらうときもそれまでの経緯説明等、引き継ぎが厄介になります。
こういう事情もあり、法人融資業務はなかなか急な休みをとりにくい業務であり、小さい子がいるママには荷が重いです。
飲み会など時間外の付き合いも多い
現在ははコロナの影響もあり、これを機に時間外の付き合い方について今後変わってくる可能性もあるとは思いますが、男性が多いからか飲み会やゴルフ、その他取引先との付き合いなどもあり、小さな子がいるママにとって、これらに全部出席するのはなかなか厳しかったです。私の場合は結局は両親などを頼ってなんとかまわしていたという感じで、子供の面倒をみてくれる頼れる存在が必須でした。
結論:ママ行員に法人融資業務は荷が重いが、育児協力者がいれば大丈夫
私が勤めた銀行では法人融資担当となるとまだまだ男性が多く、結果、育児について理解をしようとはしているものの、似たような境遇の人が少なくまだまだママが働きやすい環境とはいえないなと思いました。
法人融資業務以外であれば出産後も銀行員として働きやすい環境は整っていますが、法人融資担当の場合は仕事自体も激務なので育児協力者が必須だと思います。
企業にもよりますが、働きやすさに関して銀行業界は他の業界に比べてもやや遅れをとっている気がするので、もう少しなんとかしてほしいところです。